2025/04/30 (Wed)
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2017/05/31 (Wed)
私の新人時代(23)
2008年の夏。ローズは丸坊主になっていた。
なぜ丸坊主にしたかと聞かれればわからない。強いて言えば、「面白そうだったから」だろうか。
メイドと同じく生徒という大量のお客さんから自分を印象付けるためのキャラづくり。と、言えばいいだろうか。優秀な人たちに囲まれて、深い打算もなかったローズの戦略は、大当たりし、早くも校舎内で人気者の地位を確立しつつあった。
------------
なんだかんだで仕事はきつかったので、入社後ひと月で10kg痩せていた。丸坊主になり、また接客業に慣れ始めてきたころで、たったひと月でとにかく明るいローズの出来上がりだった。公務員時代の自分とは、まるで別人になっていた。
土日の休みではなくなり、平日休みになり、朝のラッシュの出勤ではなく、昼の出勤となる。普通の人であれば、あまりに変わった生活環境に戸惑うのかもしれないが、ローズは毎日をとにかく生き生きと過ごしていた。
------------
メイドリフレに通って1年弱。あらかたのメイドさんと仲良くなったローズは、ひそかに心の中でお気に入りのメイドさんができていた。
それは、愛と呼ぶには足りない恋心で、お店以外の彼女を独占したくはないけれど、お店においては彼女の一番でありたいと思える程度の浅はかな感情だった。
ローズが初めて好きかもしれないと思ったのは、当時一番人気だったRさん。他店にもそれなりに噂が届いているしょこたん似のメイドさんだった。
はじめは一番人気の子に手を出すつもりなんて全然なかった。なぜなら一番人気の子は、好きになったとしても相手になんてしてもらえないと思っていたし、そもそも土日はすべての時間帯が予約で埋まっていたので会うことすらできなかった。
ところが、平日休みに入ると、さすがにいかに人気のメイドさんでも、いくつか時間が空くようになっていた。
----------
最初は一度くらい一番人気の子を試してみるか。くらいの気持ちで指名したけど、気づけば、いつのまにか一番指名をしてしまう存在になっていた。
私が彼女を好きになったのは、なんといっても「献身さ」だった。普通、こういうメイドリフレの仕事なんて一生懸命やったって、そのリターンは少ないのに、彼女はお金をもらうということに責任を感じ、いつでも全力で仕事に取り組んでいた。
彼女は別に、整体などの勉強をしていたわけじゃない。確かに彼女はオタクでレイヤーではあったが、彼女の夢は、芸術家だった。
芸術家なんて普通はなれるものではない。と、思うかもしれないが、彼女がその言葉を出す理由は十分にあった。当時はそのすごさに気づかなかったが、彼女は藝大の出身だったのだ。
いわゆる芸術家の東大。と、言われる超難関学校である。勉強さえすれば入れる東大と違って、むしろ藝大の方が難しいのではないだろうか?
私がメイド喫茶に惹かれる理由として、「本来そこにいるべきではない」人に会えることをひとつの理由として感じている。そしてそこに、自分自身のまだ見ぬ姿を期待している自分の環境と重ねていたのかもしれない。
今思えば、なんとアホなことだろうか。将来の大きな可能性を持っている彼女に、どうでも良い存在のオタクの足を揉ませるなんて・・・。
-------------
彼女も最初は、メイドリフレにどっぷりつかるつもりなんてなくて、仕事が見つかるまでの軽いバイト感覚のつもりでメイドリフレに入ったのだろう。
しかし、そこは優秀な人の性なのか、彼女の真面目な性格なのか、本気を出す必要のない仕事にもついつい全力を出し過ぎてしまい、また生来の人の良さから断るべき仕事を断れず、本来の自分の力以上に働いてしまっている姿があった。
たびたび彼女は自分のキャパシティ以上に頑張ってしまい、明らかに疲れ果てている姿をよく見たし、当日欠勤になることも多いメイドさんでもあった。
現在はカフェでもシフトが公開されることが増えたが、当時のリフレは当たり前だが予約の為にシフト公開がスタンダードだった。
------------
これは顧客にとっては便利な一面もあるが、ストーカー気質のお客さんからは、誰がいつどのくらい入り、そして、当日欠勤をしたか。などがわかってしまう悪い面もあった。
別に「そんなつもり」はないのだが、ついつい彼女がどんな毎日を過ごしているのか気になって、シフトだったり、ブログから彼女の生活を想像してしまっていた。
そういう視点で見てみると、メイド関係の女性は、まるで、鳥かごに入れられた逃げ出せない小鳥のように思えてきた。
常に小さいお屋敷で、誰かが帰るのを待つばかり。自分の好きなお客さんもいれば、自分の嫌いなお客さんもいて、商売として続けている以上逃げ場も無い。
江戸時代の遊郭じゃないのだから、別にいつでもやめようと思えば辞められるのだろうけど、なかなかそうはできない彼女の姿を見て、いつしか「助けたい」と思うようになっていた。
こういう感情を持つお客は珍しいのだろうか。自分と付き合うことが助ける。なんて、いうつもりは、なく、ここに残るとしても、辞めるとしても、本来彼女が受けるべき待遇の環境に戻してあげたいな。と、思うのが、ローズの基本的なこの業界のかかわり方だった。
まだまだご主人様経験が浅いローズは、Rさんが欠勤するたびに、そわそわとした気持ちになってしまい、仕事がある日についつい11時にお店によって、そのまま13時に出勤をするというキモイ行動などをしてしまった。
秋葉原~町田の移動時間は約1時間20分である。末期症状だ。
転職をして、生活ががらりと変わってもメイド喫茶通いだけは変わらないどころか、さらに悪化するローズ。果たして彼の恋はどのような結末を迎えるのだろうか・・・。
なぜ丸坊主にしたかと聞かれればわからない。強いて言えば、「面白そうだったから」だろうか。
メイドと同じく生徒という大量のお客さんから自分を印象付けるためのキャラづくり。と、言えばいいだろうか。優秀な人たちに囲まれて、深い打算もなかったローズの戦略は、大当たりし、早くも校舎内で人気者の地位を確立しつつあった。
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なんだかんだで仕事はきつかったので、入社後ひと月で10kg痩せていた。丸坊主になり、また接客業に慣れ始めてきたころで、たったひと月でとにかく明るいローズの出来上がりだった。公務員時代の自分とは、まるで別人になっていた。
土日の休みではなくなり、平日休みになり、朝のラッシュの出勤ではなく、昼の出勤となる。普通の人であれば、あまりに変わった生活環境に戸惑うのかもしれないが、ローズは毎日をとにかく生き生きと過ごしていた。
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メイドリフレに通って1年弱。あらかたのメイドさんと仲良くなったローズは、ひそかに心の中でお気に入りのメイドさんができていた。
それは、愛と呼ぶには足りない恋心で、お店以外の彼女を独占したくはないけれど、お店においては彼女の一番でありたいと思える程度の浅はかな感情だった。
ローズが初めて好きかもしれないと思ったのは、当時一番人気だったRさん。他店にもそれなりに噂が届いているしょこたん似のメイドさんだった。
はじめは一番人気の子に手を出すつもりなんて全然なかった。なぜなら一番人気の子は、好きになったとしても相手になんてしてもらえないと思っていたし、そもそも土日はすべての時間帯が予約で埋まっていたので会うことすらできなかった。
ところが、平日休みに入ると、さすがにいかに人気のメイドさんでも、いくつか時間が空くようになっていた。
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最初は一度くらい一番人気の子を試してみるか。くらいの気持ちで指名したけど、気づけば、いつのまにか一番指名をしてしまう存在になっていた。
私が彼女を好きになったのは、なんといっても「献身さ」だった。普通、こういうメイドリフレの仕事なんて一生懸命やったって、そのリターンは少ないのに、彼女はお金をもらうということに責任を感じ、いつでも全力で仕事に取り組んでいた。
彼女は別に、整体などの勉強をしていたわけじゃない。確かに彼女はオタクでレイヤーではあったが、彼女の夢は、芸術家だった。
芸術家なんて普通はなれるものではない。と、思うかもしれないが、彼女がその言葉を出す理由は十分にあった。当時はそのすごさに気づかなかったが、彼女は藝大の出身だったのだ。
いわゆる芸術家の東大。と、言われる超難関学校である。勉強さえすれば入れる東大と違って、むしろ藝大の方が難しいのではないだろうか?
私がメイド喫茶に惹かれる理由として、「本来そこにいるべきではない」人に会えることをひとつの理由として感じている。そしてそこに、自分自身のまだ見ぬ姿を期待している自分の環境と重ねていたのかもしれない。
今思えば、なんとアホなことだろうか。将来の大きな可能性を持っている彼女に、どうでも良い存在のオタクの足を揉ませるなんて・・・。
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彼女も最初は、メイドリフレにどっぷりつかるつもりなんてなくて、仕事が見つかるまでの軽いバイト感覚のつもりでメイドリフレに入ったのだろう。
しかし、そこは優秀な人の性なのか、彼女の真面目な性格なのか、本気を出す必要のない仕事にもついつい全力を出し過ぎてしまい、また生来の人の良さから断るべき仕事を断れず、本来の自分の力以上に働いてしまっている姿があった。
たびたび彼女は自分のキャパシティ以上に頑張ってしまい、明らかに疲れ果てている姿をよく見たし、当日欠勤になることも多いメイドさんでもあった。
現在はカフェでもシフトが公開されることが増えたが、当時のリフレは当たり前だが予約の為にシフト公開がスタンダードだった。
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これは顧客にとっては便利な一面もあるが、ストーカー気質のお客さんからは、誰がいつどのくらい入り、そして、当日欠勤をしたか。などがわかってしまう悪い面もあった。
別に「そんなつもり」はないのだが、ついつい彼女がどんな毎日を過ごしているのか気になって、シフトだったり、ブログから彼女の生活を想像してしまっていた。
そういう視点で見てみると、メイド関係の女性は、まるで、鳥かごに入れられた逃げ出せない小鳥のように思えてきた。
常に小さいお屋敷で、誰かが帰るのを待つばかり。自分の好きなお客さんもいれば、自分の嫌いなお客さんもいて、商売として続けている以上逃げ場も無い。
江戸時代の遊郭じゃないのだから、別にいつでもやめようと思えば辞められるのだろうけど、なかなかそうはできない彼女の姿を見て、いつしか「助けたい」と思うようになっていた。
こういう感情を持つお客は珍しいのだろうか。自分と付き合うことが助ける。なんて、いうつもりは、なく、ここに残るとしても、辞めるとしても、本来彼女が受けるべき待遇の環境に戻してあげたいな。と、思うのが、ローズの基本的なこの業界のかかわり方だった。
まだまだご主人様経験が浅いローズは、Rさんが欠勤するたびに、そわそわとした気持ちになってしまい、仕事がある日についつい11時にお店によって、そのまま13時に出勤をするというキモイ行動などをしてしまった。
秋葉原~町田の移動時間は約1時間20分である。末期症状だ。
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